お宅訪問

第39話

side 冬陽




「お宅訪問?」


「そ。といっても家でインタビューされるだけだけど。」




数日後、秋穂さんが家にやってきた。これまでは、私に気を使ってか編集部で仕事の打ち合わせをしていたという2人。もうそんな必要はないとこれまで通り家でしてもらえるようになった。



私が無意識に作っていた壁。それは自分から歩み寄ってみればなんのこともないほど低い壁らしい。何に怖がっていたのか。だって久しぶりに会った光彦くんも、秋穂さんだっていつもと変わらない。



雀がお茶を淹れている間とばかりに私にヒソヒソ話をしてくる秋穂さんも、何事もなかったかのようにふるまってくれている。



本当にこの人たちは、とても温かい。それなのに、私は一方的にこの人たちを拒否していた。本当に馬鹿なんだと思う。



「雀は別に恋愛NGでもないし、婚約者がいてもなんら問題はない。ただ、俺としては雪花の露出をもう少し増やしたい。本は順調に売れているんだけど、作家本人の魅力も、世間に知ってほしいんだ。」



秋穂さんのキラキラした目はとても楽しそうで、それだけ雪花のことが好きなんだなと伝わってくる。



さすが、ブラコン。

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