第37話

side 冬陽




「あのね、」


「あ?ああ。」




なぜか顔を真っ赤にしている雀。そこでニヤニヤ笑ってる光彦くん。そして、ブラコンの秋穂さん。


伝えたかった。そして謝りたかった。雀から離れて、姿勢を正して、頭を下げた。




「みんな、大好き。ごめんなさい。」


「っっ、」


「冬ちゃん。」



いつも支えてくれている雀。私を笑顔にしてくれる光彦くん。雀大好き同盟の秋穂さん。みんなみんな、私のことを想ってくれている。



それなのに、光彦くんも秋穂さんも、信じられなかった私。馬鹿だよね。



信じる信じないじゃないんだ。



信じられない人間なんて、たくさんいる。だけど、自分が大好きな人たちは、そんな深いことを考える必要はないのだと思う。



打算だとか、信頼だとかそれ以前に、好きなら一緒にいればいい。一緒にいれば信頼は生まれ、それが絆になる。



「これからも私と一緒にいてくれますか?」



光彦くんをまっすぐに見て言った。秋穂さんは今度家に来た時に言う。私が今、一緒にいたい人だから。



私を見つめ返す光彦くんは真剣な表情を崩さない。もしかして、嫌われちゃったのかもしれない、なんて。すぐにマイナスに考えてしまう自分がいる。

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