第34話

パートナー、友人、仕事仲間、形は様々でも必ず彼女たちを支える主軸が存在するんだ。


人が強くある時、それは一人だということは絶対にない。



人は人を大切に想い、自分の覚悟を知るのだから。それが愛情だとしても、対抗心だとしてもどちらでもいい。その人間の活力そのものを生み出しているのだから。



全てを一人で成したと胸を張る人間がいるとしたら、それは思い上がりにすぎない。



冬ちゃんは今にも泣き崩れそうなほど弱々しく見えた。それなのにその場の誰も見ようとはしない。



だけどそうじゃない。この子には、すでにいるからだ。あの馬鹿が傍にいる。



ほんとに呆れかえるほど、君を想っているあいつが。



「っっ、めんなさいっ、」


「え?」



助けてやりたいと思った。痛々しいほどに傷ついているこの子を。



この子はとても弱い。俺の大嫌いなタイプの人間だ。



それなのに初めの印象とは違い、歩み寄ってしまうのは。



雀ほどじゃないとしても、俺がこの子を大切に思うからだ。





「光彦くんっっ、うううー、ごめんなさいー。」


「えええええ!」




かといって、いきなりの号泣は予想外だけど。




「ふふふふ冬ちゃん!泣かないで!ね?俺が雀に殺されるから!」


「ごめんねぇー。うわーん!」


「おうっ、ど、どうしたの!」



盛大な泣き声は、オシャレなカフェに響き渡る。本気でテンパると、ほんとにどうすればいいのか分からなくなるもんなんだな。

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