第27話

「だけど冬ちゃんは、変わらないように見えるよ。」



光彦くんの言葉の意味がよく分からなくて、首を傾げた。



「君、精神的な影響がモロ食生活に出るだろ?雀が言ってた。会ったばかりはあまり食べなかったって。」


「そんなことは、」



雀のご飯は、とても美味しい。だから私はあの別荘では、食べすぎた記憶しかないくらいだ。



「ないって、言える?」



そう言われて考えてみれば、残していた時期もあったかもしれない。



会ったばかりの頃、雀と釣りに行った時、そして雀が執筆で書斎に籠っていた時。どれも落ち込んでいたり、寂しかったりした時期だ。



「ほら。」



光彦くんが笑う。それに思わず、私も苦笑いを返した。私って、かなり分かりやすいらしい。



コーヒーカップを上げた光彦くんは、コーヒーを一口飲むとそれをゆっくりとソーサーの上に置いた。



「だけど冬ちゃん、この間会った時と変わらない体系のままだ。俺たちに”会いたくない”くらいショックなことがあったくらいなのにね?」



直球でぶつかってくる光彦くんの鋭い言葉に、思わず身体が強張ってしまう。



光彦くんは私を責めているんだろうか。そりゃそうだよね。一方的に避けられているんだから、不快に思うのは当然だ。

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