第26話
「冬ちゃんって、痩せてないよね。」
「え?」
突然言われた言葉はかなり失礼なもので、動揺してしまう。目を見開く私を前に、光彦くんは慌てた様子で両手を振った。
「違う違う。そういう意味じゃなくて、」
「どういう意味?」
女の子なら誰でも気にすることを言われて、思わず私の声も尖ってしまう。光彦くんはそれに気付いているのか、気まずそうに苦笑した。
「まぁ、最近冬ちゃんに何かあったんだろうことは予想がついてるんだ。」
「っっ、」
秋穂さんと光彦くんには、最近会ってなかった。それというのも、2人が家に来なくなったというのもあるんだけど。
メッセージの返信はマメにしていた。別に隠すつもりじゃなかったけれど、私の態度に変化はなかったように思う。
驚く私を前に、光彦くんは頬杖をついて視線を落とした。
「雀がね、家に来ないようにって、言ったんだ。理由は分からないけどね。」
私は、雀に2人と会いたくないとは言ったことがない。だけど内心はそう思っていた。
恐かったんだ。2人にももし、裏切られたらって思うと。
そして2人を信じ切れていない自分が嫌で仕方なかった。
そんな私の気持ちを、雀は汲んでくれたのかな。
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