第20話

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放課後、校門をくぐってすぐ、人だかりができているのを見つけた。みんな傘をさしているいるせいでかなり邪魔だなと感じながらも、野次馬根性が疼いて人の影から様子を伺ってみる。



人の中心。銀色の小ぶりのスポーツカーの前に立つ人物は、人の群れから私を見止めると、優しく微笑んだ。



「冬ちゃん!こっちこっち!」


「……光彦くん?」



こちらに手を振る光彦くんのおかげで、その場の生徒の視線が全部、私に向いた。突然割れた人垣に若干引きながらも、中央を歩いて光彦くんの前に立つ。



「どうしたの?」


「ん?迎えに来た。」


「え?」



カーキのジャケットにチェックのシャツ、紺のネクタイに黒のパンツ、茶色の革靴には雨が当たって弾けた。



真っ黒な傘の柄の部分を肩にかけて首を傾げる様はとてもかっこよくて、いつも雀の部屋でだらけている光彦くんの普段との差に噴き出しそうになった。



「デートしようよ。」



ストレートな誘い文句に、周囲がざわつく。思わず苦笑いを零した。



「遠慮しとく。」


「えー。」




とりあえず、この場を去りたい気持ちは強くあるけど、今から光彦くんとデートという気分でもない。

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