第19話
なんて、ね。
「もう、解決でいいですから。」
「え?」
だけどもう、うんざりだった。全てを悪い方に考えて、全てを疑うのは。
顔を上げた篠塚先生の顔を見ると、思わず笑みが零れた。
「私の気のせいでした。はい、終わり。」
「っっ、」
ゆっくりと、何かが侵食していく。それは私の心の中に広がって、影を落とす。
踵を返した。何もかもがどうでもよく、広がるそれは私をどんどん汚していく。
ああ、雀に会いたい。そう願っても、彼はここにはいない。
自分の机に戻って栗山さんに笑いかけた。私を見て強張った表情の理由はなんなのか。だけどそんなことすら、私にはどうでもよくて。
頬杖をついて外を見た。
雨が、降り続いている。鬱陶しい。それなのにそれは、消えてはなくならない。
雨は降り続け、地面を濡らす。湿気は纏わりつき、不快な匂いは鼻につく。
私は、この雨そのものなのかもしれない。
私が消えてなくなればきっと、誰もが笑顔になれるだろう。
笑みが零れた。
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