第15話
友達だから、私を想ってついてきてくれるのかな。前の私ならそう考えたかもしれない。
失笑が漏れた。
だってこの子は、私のためになんて動くわけない。
「どう考えても量が多いよね。こっちも暇じゃないのに。」
この子が私についてくるのは、全部あの子のためだ。
本当の被害者、渡瀬みのりさんの、ため。
これは決して私のためじゃない。
朝はいつも、嫌悪感に苛まれる。駅からずっと話し続ける栗山さんを無視し続ける自分が最低だと思うからだ。
栗山さんと私は、乗る駅が同じ。だけど栗山さんは必ず、学校の最寄り駅に着いてから話しかけてくる。
駅から学校まで、そして教室で。
口数が多いというわけじゃないけど、栗山さんはいつもと同じように私に話しかけ続けていた。
これが、あの子のためだとしたら。あの子は被害者だけど、とても幸せなんだと思う。
こんな学校なら、不名誉な理由だろうが辞めた方が正解だったのかも、なんて。
私は”加害者”のくせに、自分勝手な言い分だ。
渡瀬さんは、きっと望んでいなかった。この学校で、栗山さんと楽しく過ごして、卒業したかっただろう。
それを理不尽な出来事で台無しにしたのは、紛れもなく私だ。
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