第11話

「なんなら、今からでも、するか?」


「え?」



驚いて見上げると、雀がこちらを見て笑っていた。



「引っ掛かった。」


「っっ、」



そう言って雀は、私の手を取る。私に覆いかぶさる雀が、右手の指を、左手の指を私の手に絡める。


両手は私の頭の上で雀の両手に拘束され、その態勢のせいか雀の重みが少し増した。



身体と身体が密着して、私の上に馬乗りになっている雀は、機嫌よさそうに笑みを浮かべている。



ドキドキする。雀に見つめられただけで、心臓が痛むほど強く脈打った。



同時に、その先にある行為を期待している自分がいる。浅ましいと罵る自分と、期待している自分。そのどちらもに攻め立てられ、思わず涙が零れた。



「それは、どういう涙だ?」



突然の涙にも動揺一つ見せない雀が、目尻の涙を舐めとった。艶めかしい舌の感触に、身体に痺れにも似た感触が駆け巡る。思わず身を捩った私を楽し気に見下ろす雀は、微笑んで耳元に唇を寄せる。



「もっと泣いて、俺を欲しがれよ。」


「っっ、」



抑揚のない声だった。それなのに、私の頭の中で言葉が反芻する。



「ほんとはいつでも抱きたい。だから、俺をもっと欲しがっていい。」



雀が困ったように笑う。

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