第12話

どうやらもう、限界だったらしい。



「ふふっ、雀、可愛すぎ。」


「は?」



繋ぎ止めるとか、早くしたいからとか、そんな理由じゃなく。



「馬鹿みたいだね、私。」



もっと単純な話だ。



この人が、絶対に私を捨てないなんて言い切れない。だけど言えるのは、私が今、雀と別れたくないということ。



素直に好きと言えばいい。疑うとか、自分の過去も関係なく、私は目の前の雀という男性を、見ていればいいんだ。



「冬陽?」



両手を拘束されているせいで身動きが取れない。だから。



「キスして?」



素直にお願いした。



目を見開いた雀が、目を伏せて。啄むようなキスを落とす。



足りない。だから。



「もっと。」



思うままに、口にしよう。



雀なら、受け止めてくれる。



私が雀に何を思っているのか、何を怖がっているのかを、きちんと聞いてくれるから。



「ん、」



雀のキスが、降り注ぐ。それはあまりにも幸せで、嬉しくて。



だから、涙が出た。



不思議だね。雀にキスをされるたび私の心が少しずつ、温かくなるんだ。

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