「ごめん。もういい。」

「冬陽、」

雀の目を見ていることができなくて、目を伏せた。

酷く恥ずかしい。浅ましい自分が。

セックスは、打算でするものじゃない。本当に好きだからこそ、その人と深く繋がりたい。そう願ってするものだ。

そう思ってきた。とても神聖なものだと。

だからこそ、あの時は幸せを感じていた。涼介と繋がれて、彼が初めての相手であることに、感謝すらした。

それが裏切られた。

結局、私の中に強く残るのは後悔と、トラウマだけ。

それなのに、誰も私を助けてはくれなかった。

雀は、本当に素敵な人だ。だからこそ、雀なら私じゃなくても幸せになれる。そんな不安があるとしても、セックスを繋ぎ止める手段として使うなんて、女としては最低な方法だ。

私は結局、雀までも信じられなくなっているのかもしれない。雀がいずれ私を捨てるかもしれないと思ったからこそ、最低なことをしたんだから。

「冬、顔を上げろ。」

雀が頬に手を添えても、どうしても顔を上げられなかった。

今の私は、雀をまっすぐに見ることなんてできない。それくらい、自分を嫌悪していた。

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