第4話

「今日は食べに行くか。」


「え?そだね。それもいいかも。」



笑う冬陽の額にキスをした。同時に合う視線は近付き、啄むようなキスになる。



何度も繰り返すと、互いの吐息で唇が湿り気を帯びる。耳を刺激するリップ音に、愛おしさと苦しさが溢れ出した。



「ん、」



少し苦しいのか冬陽が小さな声を出した。それにすら興奮する自分は終わってるなと内心苦笑いをしながらも、少しだけ開いた唇に舌を割りいれた。



艶めかしい舌の感触は、逃げたり、応じたり。冬陽の途惑いを表すその舌使いにますます興奮する。



舌を何度も擦り付け絡め、深いキスは長く長く、続いていく。初めは戸惑っていた冬陽も次をと求めるように俺の首に腕を回した。



「は、」



苦しそうに吐かれた吐息が、唇に当たる。夢中になっていたせいでようやく気付いた自分たちの態勢に、互いに苦笑いを零した。



ソファーに押し付けた冬陽の柔らかな身体は、腰を撫でるだけで反応を見せる。首に腕を回して俺を見上げる冬陽は恥ずかしかったのか、頬を赤くして困ったように笑った。



少しずつ、俺たちの間にある境界線が薄れていた。



進む関係はいずれ、行きつくとこまで行くんだろうが、まだ時期早々なのは、どこか頭の片隅で分かっていた。



分かっているはずなのに、止まらない。

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