第2話

「……そうか。」


「うん。」



両親への約束があるからか、学校は休まずに行っている。しかしそれは本当に”行っている”だけだ。



「今日のご飯なに?」


「あー、どうしようかな。」


「なにそれ、適当だね。」



冬陽は笑う。その笑顔は本物のはずなのに、それを見るたび胸が痛んだ。



学校の調査は不要に冬陽を傷つけるだけの結果に終わってしまった。


大方予想はできていたはず。それでも学校に任せたのは、あの篠塚という教師を信じたからだ。



いや、信じる信じないの話じゃない。全ては結果だ。結果的に冬陽は傷つけられ、そして俺以外の人間を信じなくなった。



どこかでこう望んでいたはず。だからこそ俺は、篠塚という教師を安易に信じたのかもしれない。



俺だけに笑顔を見せ、俺だけを信じればいいと望んでいた。それなのにこうなって満足しないのは、今の冬陽を見て心が痛むからだ。




「冬陽。」


「ん?なに?」



部屋着姿の冬陽に手招きすると、首を傾げながらこちらへとやってくる。



柔らかな身体を引き寄せ抱きしめれば、冬陽は背中に手を回して抱きしめ返した。



冬陽の甘い香り、嬉しそうな笑顔、そして華奢で柔らかい身体。全てが、俺に好意を主張する。

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