第49話

side 響也




目覚めた場所は、酷く居心地の悪いところだった。



綺麗に清掃された室内。埃一つ落ちていないそこにはベッドと一人掛けのソファーが2脚ある。それで挟むように置かれているテーブルの上には、俺の世話をするためか薬や水といった看護セットが雑然と置かれていた。



大きな窓からは月が見え、満月のせいか酷く焦燥を誘う。



ベッドのシーツはとても綺麗で、ホテルのようだった。


おぼろげな意識の中見えた男は、医者なのか手際よく俺の世話をしてくれていたと思う。


そして、はっきりと目を覚ました時傍にいたのは、美しい女だった。



そんな、一見完璧だと思うこの空間は、俺にとっては酷く居心地が悪くて、気分は最低だ。



それがなぜか、再び沈んだ意識の中で考えていると、ある女の存在であることにたどり着いた。



綺麗な女だった。さっきの女なんて比べ物にならないほど。



美しく、気高い、あの目。



三白眼というんだったか。俺を見つめるその目は、酷く俺の心を浮足立たせた。



「逢いたい。」



呟いた言葉は、夢か現実か。先ほどの女から聞けなかったが、あの三白眼の女に、どうしても会いたい。強く思った。

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