第48話

「そんなの、迷信でしょ。」


「……そうかもしれないな。」



雛は、恋が苦手だ。いや、愛という曖昧な存在そのものを嫌っていると言っていい。


そして俺たち狼もまた、愛というものが分からない人間だ。



だからこそそんな俺たちが番を見つけた時は、命を賭けてでも愛しぬくだろう。


実際、番を見つけた狼は多い。例外のクソ野郎も多数いるが。



だからこそ、俺たちはただの不良ではなく、狼と呼ばれるのかもしれないな。



「でもな、」


「ん?」



いつもの悪態なく、嘲笑すら浮かべない雛は、少しだけ可愛くみえなくもない。


黙ってれば普通に、可愛いお嬢さんなんだけどな。



「俺は、そういう恋、してみてえなって思うよ。」


「……童貞じゃ無理でしょ。」


「……。」



やっぱり、可愛くねえ。



「俺は童貞じゃねえ!」


「それ、”素人”が付くでしょ。」


「プロ相手じゃねえから!マジで!俺の童貞いじりそろそろやめろ!マジでそう思われがちだから!」


「フッ、ガチで思われてるし。」



見ろこの、人を心底蔑んでいる冷笑を。16のガキのくせに俺を舐め切ってやがる。



「諦めれば~?キャラでいいじゃん?」


「童貞キャラってなんだよ!」



心なしか、陸人にも舐められている気がする。



「マジでお前らやだ。」


「私も嫌だわ。童貞が友達とか。」


「俺は非童貞だから~。」


「……。」



ほんと、やだ。

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