第46話
「あ、あとねぇ、」
無邪気に笑う陸人。こいつのこの笑顔は好きだ。本当に笑えていると思うから。
「雛のお気に入りちゃんも好き。あとアレも。」
頬杖をついて、陸人は舌ピアスをチロリと見せた。その表情はまるで、蛇のようで。妖気が体に纏わりつくような、そんな気持ち悪い感覚に苛まれる。
「あの狼、とても危ない気がする。そういうの、俺好きだなぁ。」
こんな女みたいで普段温厚なこいつが狼と言われる所以は、ここにあった。
危ないことを好み、人を傷つけることを厭わない。自分が信じるもの、こいつにはそれ以外を受け入れる器用さが皆無なんだ。
「彼には感じるんだー。俺と同じものを。」
「……それはなんだ?」
俺がこいつと一緒にいる理由。暴走しないように見張ってやる義理もねえのに、なぜかそうしてしまうのは……
「番(つがい)を探してるんだよ。極上のね?」
俺と同じ。誰かに愛されたがっているからなのかもしれねえ。それは、雛も同じ。学は、どうかしんねえけど。
「絶対俺が先に見つけるな。」
「えー、俺の方が数撃ててない?」
「数撃ちゃ当たるってのは迷信だ。」
「数ってほど撃ててない大雅に言われたくない。」
「うっせー。」
まぁ実際は、こいつらとバカ騒ぎしてんのがおもしれえだけなんだけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます