第45話

「うっせぇ。お前が言うと卑猥なんだよ。」



エロの塊みてえな陸人が悪い。


睨みつければ、陸人は嬉しそうに笑う。


「ありがとー。」


「どこに礼を言う要素があった?」



なぜか、自分がエロいと言われて喜ぶ陸人は、鼻歌を歌いながら学の飲み残しのグラスを煽る。



「……ん、零れちゃった。」


「ちゃんと拭けよ。」



顎を伝うワインって、なんでこんなにエロいんだろうな。これが女だったらなおいいのにな。残念だよな。陸人だもんな。



とりあえずその辺に落ちていたタオルを放ると、それを受け取った陸人はまた嬉しそうに笑う。



「大雅は俺をそういう目で見ないから好き。」


「は?俺はいつも意識の高いエロを目指してるんだよ。」


「うん、そうだねー。」



すげぇどうでもよさそうな返事だな。頬を引くつかせる俺に、陸人は笑みを深めた。



「学もね、お酒のことしか考えてないから好き。雛も、俺のこと全く男として見てないから好きだなー。」


「いや、風呂入ってたろさっき。」




健全な俺から考えると異性のダチ同志で風呂とかあり得ないんだが。


俺のツッコミに陸人は不思議そうに首を傾げている。だめだこいつら。根本が違うわ。

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