第44話
そういう俺たちも、群れ狼だ。しかしあの清水響也は、どの狼にも屈せず、自分だけで行動してきた、所謂一匹狼だ。
だからこそ、自分の”家族”に引き込もうとする者、最強のはぐれを仕留めて名を挙げようとする者は多い。
さっき公園で倒れていた奴らも群れの一つだ。
「つか、強すぎじゃない?さっきの奴ら、結構強いよ?」
「なんだお前、知ってんのか?」
俺の腕に絡みつく陸人が小さく頷いた。おかしい。ここでなぜ欲情しねえんだ。
俺はとりあえずヤれればこの際男でも女でもいい。いや、本当は女の方がいいが。
陸人なら相手が人間ならなんでも行けそうなんだからこいつに反応さえできりゃ俺の性生活は安定するはずなのに。そうすればプロの方に払う代金も別に回せる。
それなのに。惜しい。こいつにまったく反応しねえ俺の息子は、最後の一線を守ろうとしているのかもしれない。
「この間ヤッた狼くんが言ってたよ。最近勢力伸ばして粋がってるって。」
「それは、どっちの意味の狼くんだ?」
性的に狼くんなのか、それとも真面目な意味なのか。
「……大雅、」
「あ?」
「馬鹿じゃないの?」
俺の腕に巻き付いておきながら、心底蔑んだ視線を向けてくる陸人に殺意が沸いた。
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