第43話
「しかもあのイケメンくん、結構名が売れてるし。」
「……ああ。」
確かに、あの男はこの界隈じゃ有名な狼だった。
清水響也。あの見た目と強さは、奴をねじ伏せようともくろむ狼たちを寄せ付けてやまない。
狼は、種の優劣を常に決める生き物だ。
最上級にいるアルファは、番(つがい)を得て群れを拡大する。競争に敗れ、孤立している狼は一匹狼と呼ばれるが、それは稀だ。
本来、狼は群れで行動する生き物だ。
この界隈で生きる俺たちは世間から狼なんて名前を付けられちゃいるが、要はそれは暴走族という古い習慣の名残なのだろう。
今や1チームだけになった過去の栄光が、新しい名前を付けられまだ生きようとしているだけだ。
何年経とうが、人が生きていることで悪人がいなくなることはない。
俺たち不良と呼ばれる人種もまた、時代とともに様変わりしようと絶滅することなんてあり得ないんだ。
バラバラに行動していると思われがちな我々狼は、実は暴走族のようにチームとして行動奴らが主だ。
しかしそこに名前はない。ただつるんではいるが、家族のように名前を付ける必要がないからなのかもしれない。
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