第39話

side 雛




琴葉との通話を切った直後、大雅がリビングに姿を現した。



「雛、気が付いたぞ。」


「あっそ。」



イケメンの意識が戻ったらしいけど、だから何だと言いたい。なぜか目を丸くする大雅。首を傾げた。


「なによ?」


「いやいや、仮にもまさかの雛が家に運んでまで助けた奴だろ。取りあえず様子身に行くだろ。」


「あー、まさかのは余計だと思うよー。」



陸人がふんわり笑顔でそう突っ込む。確かに。まさかのは余計だし。


「私は元々心優しいし。でもあのイケメンは別。」


「イケメン……。俺?」


「え~?いやいや俺だろ~。」


「違うぞ2人共。イケメンは俺。」



本気でそう思ってる大雅が自分を指さして、ヘラヘラ笑う陸人が私の腕に絡みついて甘える。その2人を真っ向から否定したへべれけ学は、ワインの空瓶を持って自分を指さした。



「あんたらね。」


ほんと。こいつらも一応イケメンではあるんだけど……残念ながら頭がおかしい。



「大雅は残念。ギリ違います。」


「あ?もっぺん言ってみろ陸人!」


「ウイスキーも飲みてえなぁ。」



各々好き勝手しだした3人の相手をするよりはマシかと考え、客間に向かった。月明りが射し込むだけの暗い室内。月を見ていた男は振り返り、その美貌を険しく歪めた。

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