第38話

『なら、本人がどうか知らないけどしばらく置いてあげる。』


「ありがとう、雛。」


『……別に。私には美味しい話だし。』



雛は素直じゃないだけ。実はとてもいい奴で、私は大好きだ。




「手、出さないでね。」


『そこ釘刺してくるあたりがアンタらしいね。タイプじゃないから頼まれても無理。じゃね。』


「うん。」



通話を切って溜息を吐いた。本当なら、私が彼を助けたかった。だけどそうできない。さすがにウチに連れてくるわけにいかないから。



雛には迷惑しかかけてない。無理矢理押し付けてきたようなものだし、宿題の肩代わりくらいはやるべきことなのかもしれない。



筆跡で先生にバレそうだけど。



これをお母さんが知ったら、ものすご怒られそう。まだ怒られてもないのにすでに怖いもん。



とにかく、彼は助かったみたいで雛も無事彼氏とラブラブだった。



ピアス陸人……あれとキスとかすんのかな。



ピアス、邪魔じゃないのかな?明日学校で聞いてみよう。



そんなことを考えていたら、いつの間にか眠りの世界に突入していた。



その日見た夢は、私はベンチの上に座っていて、その隣にはあのイケメンが笑顔で座ってた。



これが正夢ならいいな。

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