第34話

『なら労って牛乳くらい持ってきなさいよ。』




雛さん、もしやあなた、お風呂上りは牛乳派で?




『おっけー、待ってて。』


『……うざっ。』


「雛ちゃん、全部聞こえてんだけど。」



私の親友の私生活の荒れようが怖い。いや、もしかしたらピアス陸人が彼氏かもしれないし……。



『琴葉、んでイケメンだけどね、』


「うん。」



その辺はどうでもいいから一旦忘れよう。それよりも重要なのは、あの人のことだ。



『急所外れてるけど明日熱出るって。で、あんたアレ、引き取れるわけ?』


「……それは、うちに置く、ということでしょうか?」


『はぁ。それ以外にあるわけ?』


「無理に決まっておろう。」



こいつは何を言ってんだ。我が家にはお母さんというリアル魔女がいるわけ。



娘が突然、喧嘩でぶっ倒れた名前も知らないイケメンに一目ぼれしたからウチでしばらく面倒みてもいい?てへぺろ!なんて言ったら拳が飛んでくる。



『じゃぁ、捨てるよ。』


「ちょまままま待てい!」




だからと言って、雛にお世話してもらうのもダメだろうし……



『……メンド。いいじゃん、ちゃんと病院の入り口に置いてあげるし。』


「それ訳アリの人の常套手口だよね。」

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