第32話

side 琴葉




あの時間まで何をさせられたのかだけを聞かれて、お母さんの尋問から解放された。


そのあとご飯を食べて、お風呂に入って。いつもはテレビを見るけど居残りで疲れたってことにして早々に自分の部屋へと戻る。



そして何度も、雛に電話をかけているんだけど……



「でねぇ。」



全く、応答はない。メッセージアプリで送り続けても既読すら付かず。


雛は常にスマホを手に持ってるような奴だから電話に出ないなんてありえない。



基本、呼び出しすらぶち切られるか、メッセージは既読スルーだ。



それなのに、今日は違う。いつもと違うというだけで、私の不安はどんどん増していくばかり。



もしあの後あの死体たちが復活して、あの変な3人を倒しちゃってたらどうしよう?



雛は逃げれないかもしかもあの彼は?意識を失っているのに。



これ、漫画でよく読む展開じゃない?拉致だ。拉致。危ない場所に友達を呼び出して放置して帰るなんて。今更ながら自分の最低さに吐き気がする。



「どうしよう。雛っ。」



ここは、お母さんに事情を話して警察に通報すべき?それとも家をこっそり抜け出してあの公園に戻ってみるべきだろうか。

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