第27話

「お前なぁ。もうちょっと可愛げを学べよ。さっきの子、なんだっけ、素直そう。あれくらいになれ。な?そしたら俺の女にしてやってもいい。」


「大雅(たいが)の顔怖いから嫌。」


「は?」



とりあえず、分かるのは。この男をこのままここに放置して帰ったら琴葉がブチ切れるということだ。



別にあいつが怒ろうが知ったこっちゃないけど、怒った琴葉の嫌がらせはねちっこい。



消しゴム隠したり、スマホの画面に手あかを付けたり。



だけど、私が何をしたってあいつは、そんな小学生みたいな嫌がらせだけで満足してしまう。絶交でもして縁を切れば手っ取り早いのに、絶対にそれをしない稀有な奴だ。



だから。しょうがない。



「ちょっと。」



大雅が落ち込んでいるのを指さして笑う学と陸人にスマホを向けた。



「コレ。私の家に運んで。」


「俺、色々触ってもいい?」



陸人が首を傾げる。可愛いことこの上ないけど、こいつは危険だ。陸人は男も女も、どっちもいける。とりあえず自分が性の対象だと見れれば、その辺のおっさんでも声をかける雑食だ。



「だめ。これは琴葉の予約品。大雅が変わりにやってよ。」


「あ?俺顔が怖いから嫌だ。」



うじうじ根に持っているらしい大雅。ほんとに怖いんだからしょうがなくない?

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