第21話

そういえば、雛を送る時も運転席でタバコをふかしながらギロリとこちらを見ていた気がする。



「学(がく)運べよ。」


「あ?無理だろ。」



取り合えず、タトゥーが学ね。ビシリと突っ込みを入れる強面の顔は変わらず険しいままだ。



「陸人(りくと)くん、雑魚の処理してい?」



首を傾げたピアスがわざわざ名前を教えてくれた。ていうか可愛いけど言ってること怖すぎるだろ。



「お、じゃぁ俺が美女担当……でもねえか。」


今失礼なことを言った強面。玉砕覚悟で殴っていいか?




「ちょっと、琴葉は美人でしょ。私の次に。」



雛ちゃん、素敵なフォローありがと。



「んん、うっせ、……え?」



そんなこんなしてる内に、3人が騒がしかったからかナイフ男が目を覚ました。



「っっ、なんだてめぇらっ、ぐふっ、」


「うるさいんだけど。」



立ち上がろうとした瞬間、ピアス陸人の足が見事に後頭部を踏んで。聞いたこともない音とともに、ナイフ男は再び意識を失う。



……これ、ほんとに死んだんじゃない?



そう思うほどの衝撃。そして伏せているナイフ男の顔の辺りから鮮血が流れ出したことで、それは確信を深める。

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