第19話
顔が美人系なのに筋肉がムキムキなんて。芸能人だったらちょっとタイプじゃないとか思っちゃうのに。
しなやかについた筋肉は逆にこの人のかっこよさを引き立てている。
「大丈夫?ほんとに。」
呟いた言葉は初対面のボコボコにされた不良を膝に乗せている自分に向けられているのか、それともこの人の怪我の具合を心配しているのか。
でも、月明りに照らされた男の苦しそうな顔は、どこか寂しそうに見え。
思わず頬をゆっくりと撫でた。
「……んん、」
「っっ、」
突然、近くの刃物男の死体がうめき声をあげた。肩と心臓が一際大きく跳ねて冷たい汗が流れた。
そういえば、私は今死体たちの中心にいる。倒したのは膝の上の彼だろう。死体と言ってはいてもただの気絶した不良集団なわけで。しかもナイフを持っている時点であまりいい不良じゃない。
……ていうか、不良自体よくないけど。
しかも状況から見て大人数でこの男に挑んで返り討ちにされたっぽいし。
こいつらの方が先に目を覚ました場合、かなりやばいことになるんじゃない?
サッと血の気が引いていく。しかも目の前の刃物男は少しずつ意識がはっきりしていっているのか、なにやらゴソゴソと動き始めているし。
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