第18話

溜息を吐いてスマホをポケットにしまったら、街灯に照らされた男の綺麗な顔が目に入った。




「ほんと、綺麗。」



線は細い感じだけど、体つきはまんま男だから分かるけど、顔だけみれば女に見えなくはないかもしれない。



怪我のせいでボコボコなのが残念。傷すらついてなかったら芸能界で通用しそうだ。



雛が来るまでの間に、手の届く範囲で、男の身体を見てみることにした。まさか刺し傷とかないよね?



一番近くの死体が手にナイフを持っているのを見てゾッとしてしまう。



手は引き寄せるだけでかなりの重労働だった。手だけでこんなに重い。男の人って感じだ。



手はところどころ擦り傷みたいなのができてて拳が腫れてるけど大丈夫そう。身体を見れば春とはいえこの時間肌寒いのに、薄手のシャツ一枚。



すぐに風邪をひいてしまう私からしたら考えられない服装だ。


ズボンもジーパン。しかも足元はサンダルだ。



「夏か。」



思わず突っ込んで身体を念入りに調べれば、血が出てそうなところはないようで、とりあえず安心した。




薄手の服のせいで分かる、鍛え上げられた身体。さっきからドキドキが止まらない。

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