第9話

決して小さくはない。しかし大きく、力が有り余っているわけでもない。そんな中途半端なこいつらは、警察からも睨まれることを避けるため、この町の治安を維持し、自警団のようなこともしている。



要するに、上にも警察にもいい顔をしてチームを存続させようってことだ。



しかし、年々、族に所属しているでもない、ましてや一般人ほど健全でもない。そんな無所属の奴らが力を増している。



そいつらは族ほどの数では群れない。しかし一人一人が凶悪で、理性や優しさなんて持ち合わせちゃいない。



そんな奴らを抑えるには、こいつらには力が必要、ということなんだろう。


同情する話だ。



不良という立場にあって町を守るヒーローでもある。力を維持するために、名が売れている俺に頭を下げている、なんて。




「俺はどこにも入らない。興味もない。」


「そう言わずに!」




手の平を合わせて拝むこいつは麒麟の副総長を務める男だ。俺はこいつ以外の麒麟のメンバーと会ったことがないから分からないが、族に所属する不良ってのはこんなにも雰囲気が柔らかいもんなのかと驚いている。



「この町の狼で唯一お前がまともなんだよ!」


「なんだそれ。」



見た目だけなら、その辺のチャラ男だ。

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