第10話

金髪の長い髪をアップにして、耳にはたくさんのピアス。服装もその辺の雑誌を切り抜いたみたいだ。



「うちさー、最近姫がいるんだよ。だから人数不足なんだよね。」


「知るか。」



族には姫っつー立場がいることは知っていた。簡単に言えば総長の女ってことだ。総長に会ったことはないが、この町を守るのに忙しいくせに女を作ってる暇はあるんだなと呆れるしかない。



「一応守んなきゃだろ?最近俺たちの存在がうざいらしくて狼さんたちが活発なわけ。」



少し、補足事項があった。俺は確かに狼と言われているが、それは俺だけに限ったことじゃない。



俺みたいに、町に蔓延る不良が相称してそう呼ばれている。



だから俺みたいな狼もいれば、狂暴で残忍な狼もいる。その中で、この町の自警団気取りの麒麟が目障りだと感じる狼ももちろんいるわけだ。



「大変だな。じゃ。」


「あっ、」



俺としては、そんな奴らよりよほど麒麟の連中の方が面倒だ。



「諦めないからなー!」



路地裏でそう叫ぶ平和ボケしたこいつらと関わっていると気付かれれば、面倒なのは俺の方だというのに。



大体俺にそんなに執着する意味が分からない。

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