第8話

しかし、周りの反応は違った。




【狼】



俺はそう呼ばれ、この辺の不良たちの間では有名になってしまった。くだらない。喧嘩が強いからなんだってんだ。


俺は別に殴りたくて人を殴ってるんじゃない。ましてや喧嘩を楽しんでるなんてありえない。



ただ一方的に殴られるわけにはいかないから、先に相手を戦闘不能にしているだけ。一種の自衛行為だ。


それなのに勝手に周りが絡んできて、騒ぎ、崇拝している。そんなことあり得るのか?



「俺は族になんて入らない。」


「そう言うなって。」



そんな輩の中で、一際うざいのがこいつら。



暴走族なんて古い存在は、年々勢力の縮小を余儀なくされていた。


この地帯でも昔はただの不良集団が幅を利かせ、町全体を支配していたらしいが、ここ最近は対抗勢力も減り、こいつらのチームくらいしか活動していない。



【麒麟】(きりん)なんて大層な名前を持つこのチームは、まだ辛うじて活動できている。



警察の締め付けが強い今、こいつらを守っているヤクザも年々力が衰えてきている。



まさに風前の灯。こいつらがどれだけあがこうとも、消える存在は当たり前に消えていく。

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