第7話
side 響也(きょうや)
ガキの頃から、毎日をどう過ごしてきたのか。記憶に残るほどの何かはなかったように思う。
退屈な人生。その退屈な出来事すら覚えてはいない。
「清水(しみず)、そろそろ入る気になったんじゃねえの?」
「……。」
物心ついた頃から、父親はいない。ずっと母親と二人だ。当たり前だが母親は仕事で忙しく、せっかくの休日すら家にいることは稀だった。
あいにく金はあったから不自由はしなかったが、母親を親として認識したことは一度もない。
ガキの頃、親に育てられたというよりは毎日来ていた家政婦に生かされたという印象だった。
俺の容姿はそっち方面の奴らの目に付きやすいらしく、変な輩に絡まれだしたのが中学に入ってから。
元々ガタイがいい方なのが幸いしたのか、初めてだったにしては喧嘩で負けたことはない。
それからずっと、道を歩けば変な奴らに絡まれた。体のどこかに【喧嘩をふっかけて】と書いてある紙でも貼ってあるんじゃ?と疑っちまうくらいだ。
毎日、出歩いては喧嘩ばかり。食い物も同じ。代り映えのない日々だ。
虚しさすら感じない。どうでもいいから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます