第6話

「つかあんたもモテ族でしょうが。」


「……どうかな。」



入学してから、私も雛ほどじゃないけど呼び出しを受けることがある。それは先輩が後輩を締めに、とかじゃなく、ちゃんと男子からなんだけど……



「7割お前に取り次いでってクソみたいな理由だし。」



そう言えば、雛は目を見開いて顔を不愉快そうに歪めた。



「ほんとにクソみたいな理由。そいつら絶対ないわ。」


「だと思っていつも断ってる。」



とりあえず友達に取り次いでもらおうなんて草思考の奴ら、雛が好きになるなんてありえない。男ならどんとこい。この気が強い女王様はそんな肉食的な考えをお持ちだ。



「でも3割いるじゃん。」


「グッと来なかった。」


「かー、贅沢ー。」



入学してから毎日のように告白してきた奴を切り捨ててる奴に言われたくないけど、確かにそれは贅沢なことなのかもしれない。



だけど。



「いいなとすら思わないのに付き合ったら失礼じゃん。」


「ま、そりゃそうか。」



言われてみれば。とばかりにすぐに納得してしまった雛がリップを唇に塗る。


「できたー。さて。」



溜息を吐いて化粧道具をしまった雛は私を見てにっこり。



「買い物、付き合ってよ。」


「は?」



有無を言わさぬ笑顔でそう言った。

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