第4話
「なにアンタ、恋がしたいの?」
「そりゃそうでしょ。」
心底不愉快、といった表情を浮かべている目の前の美少女は、一応、私の親友。鏡を前にリップを構え、唇を尖らせたまま、目は気色の悪いものを見るように歪められている。
……器用な奴。
「それで?」
「それで、とは?」
町を歩けば必ずスカウトに絡まれる顔とスタイルは、本人も言っているように完璧。緩く巻かれたベージュ色のロングヘアーは、常に手入れされていていい匂い。
きちんとメイクされたお顔は100人に聞いたら95人は可愛いと思うだろう。世の中ブス専は存在するのだ。ぷっくりしたアヒル口。薄めに引かれたアイラインで十分な目元は少し垂れ気味で加護欲を誘う。
胸もかなり大きい。対してウエストはありえないほど細く、足もスラっと長い。
有栖雛(ありすひな)、性格にやや難アリのモテ女子だ。中学校からの腐れ縁ではあるけど、面白いから未だに付き合ってる。
「好みってある?紹介ならできるよ。」
「無理。」
「は?」
何が嫌なの?とばかりに睨みつけてくる雛を頬杖をついて見つめ返した。雛はモテる。そりゃ尋常じゃないほどに。だからといって交友関係が派手という訳じゃない。その辺の分別はついてる奴だ。
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