第3話
「……どこぞの娘さん。すまない。」
「っっ、こんな、今から死ぬ人間に懺悔したところで、どうせこの女は助からないっ。」
娘がいるという男から、悔恨の念が伺える。それでも、私のこの理不尽な状況に説明なんてつかない。
「っっ、合図の鐘だっ。早く、この女を!」
嗚呼、どこかで、鐘が鳴っている。
快活でもなく、鈍くもない。高くも低くもないその音色は、とても心地よい音だ。
こんなに穏やかな音色だというのに、人々は恐怖に震え上がる。
「早く!殺されちまうぞ!」
「待ってくれっ。」
これまで決断を渋っていた人も、娘を持つこの男も、赤子も、女も、そして屈強な男たちも。
この音色を聞いた途端、死を連想する。
「っっ、」
「くそっ、重い!」
引きずられていく衝撃に抗うことができない。だって、身体が全く動かないのだから。
「アレは女を貪り、純潔でなくなればそれを食らう。お前は俺の、娘の代わりとなるんだ!」
息を切らしながら、親切に私の行く末を説明する”娘を持つ男”は、震える手で私の身体を乱暴に引きずっていく。
「おいっ、早くしろ!」
もう一人の男がそう言った途端。
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