第2話

side ある女




「っっ、こいつでいいだろっ。バレはしないっ。」




……なにが、起こっているんだろう?




「しかし、お前の娘は、」


「姿形を奴らが知っているはずはないっ。要は女ならいいんだ!」



ああ、痛い。



「この女が、清い体なのかも分からない。もしそうでない場合、バレればその時は、うちの村が潰されてしまう。」


「そんなの、確かめればいい。」


「っっ、」




無遠慮に男の手が私の服の中に侵入していく。男たちはどうやら、私が純潔かどうかが知りたいらしい。



”純潔にこだわり、それが露呈すれば村が潰れる。”



痛いほどに刻む鼓動が、噴き出る冷たい汗が、暗い予感を深めていた。



「……大丈夫だ。この女は純潔だ。奴らが最も好む若い娘でもある。これならばもしバレたとしても、問題ではないだろう?」


「……しかし。」




頭が、痛い。うっすらと見える目を酷使して、なんとか状況を確認しようと思うけれど、ドロドロとした生暖かいなにかが視界を塞いでいる。



「見逃してくれっ、お前にも娘がいるだろう?」



必死な声は、娘を想ってのこと。だからといってなぜ、私が変わりにこんな目に遭わなければならないのか。

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