第45話

「実はさ、クラスの女子から告られたんだよね。」


「え。」




休みの日はだけど、1日の大半をこの世界で生活している。きっと親よりも、VCで繋がるMAMEの方が話す時間が多い。



だけど、EGGの世界での話題以外はあまりしなかった俺たち。



そのラインを今、踏み越えてしまった。




「返事をいつしたらいいか、分かんねーんだ。」


「……返事のことは何も言われてないの?」


「ん。」




めんどくせーとか思われたかな?だけどなぜか、口が勝手に動いたんだ。




「NATIは、その子のこと好きなの?」


「……可愛いとは思ってたけど、正直分かんねー。」



河合ゆずの存在は、テレビの女優とかアイドルとかと一緒で、マジで付き合えるとはつゆほども思ってない。



どちらかといえば毎日話して一緒に過ごしているMAMEの方が恋愛を想像するにはリアルだったくらいだ。



そんな存在から告白されたら、戸惑う上に混乱するのは仕方のないことだと思わないか?



「でも、可愛いと思ってんだ。」


「まぁ、実際美人だし。」


「あ、自慢?俺はそんな子に告白されましたよーって?」


「ちげーし!」


「ふふっ。」




もし俺が、河合ゆずの告白にOKしたとして。こうしてMAMEとみたいにスラスラ話せるかと言われたらそれはものすごく怪しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る