第43話

「でも正直な話、もしだめだったら、なんて嫌な考えが浮かんじゃってさ。バカだよね。それで上の空って、せっかくゲームしてるのに。」



「……EGGをそんな大事なものみたいに言うお前がすげーわ。」




まるでそれが生きがいかのようにMAMEは語っているように感じた。たかがゲームなんだよな。だけど、俺やMAMEにはそうじゃないんだ。



「NATIだって親に禁止されたら人生終わるくせに。」


「俺はいいんだよ。」




男のゲーム廃人なんて珍しくもない。そんなこと言ったら男女差別だとか言われそうだけど、割合い的には、ネトゲ廃人になる女なんてほとんどいないだろ。




「よくないじゃん。私と同じ高校生でしょ?恋愛でもしなくちゃ。」



MAMEの何気ない一言に、なぜか心臓がギクリと軋んだ。それは俺が、河合の告白をなかったことにしようとしているからなのかそれとも、MAMEの発言でとっさに感じたことのせいなのか。




「ネトゲばっかしてんのにモテるわけねえだろ。しかも女となんかなにしゃべっていいか分かんねえし。」



「あ、それ傷つく。」



「MAMEとはEGGの話題があんだろ。」



「あ、そっか。」



俺に恋愛しろなんて言うくらいだから、MAMEは俺のことなんて男として意識もしてないってことだ。

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