第41話

咳だったりくしゃみだったり、机の軋む音、何かを飲む音、飲み物の氷の音。外を通った宣伝カーの音、オートバイの音。




聞こえる音から、MAMEのVCが生きているのは分かっている。




ここ2、3日だけど、MAMEがボーッとしていることが多くなった。何か悩みでもあるんだろうか?でもあまりプライベートな話題に踏み込むのもどうかと思うし。



ゲームをしながらVCをする相手には、さまざまなタイプがいる。自分から自分のことをペラペラしゃべる人もいるし、プライベートなことは一切話さない人もいる。



そして基本的には、自分をさらけ出してしまう人以外は深い話はしない。



そこまでの人間関係を求めていないというのが主な理由だ。




それもそうだ。ゲームのフレンドとマジで友達になろうなんてやつ、あんまりいないだろ。




「……あ、ごめん、なに?」



MAMEの声は、心なしか元気がない。ここで何かあった?って聞くべきなんだろうか。



「別に、それはいいんだけど……。」



踏み込んでいいラインっていうのが、ちょっと難しい。リアルな友達ならそれは簡単に判断つくんだろうけど。




「実は、最近心配なことがあって。」


「へぇ、どんな?」




なんてそっけなく言ってみるけど、相談してくれそうな雰囲気に内心ちょっと喜んでたり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る