第30話

「連絡するから。」


「っっ、」




そう言い残して、残りの女を3人とも連れて街中へと消えて行った。



残されたのは、俺と滝川。




女を全て取られた滝川の落ち込みようったらない。俺はといえば、女より、堂本さんという魅力的な人と出会えたことに満足してたり。



それはそれで俺、終わってる感ある気がするんだけど。





スマホを見れば、メッセージが1件。タップしてみると、相手は三菱。




[ラミちゃん来たー!]



「ふ。」



思わず笑ってしまうほどいつもの感じ。滝川も多分、朝飯でも食えば機嫌が直ってるに違いない。そう思っていた。




---、



滝川家からの帰り道、まだどこかフラフラする気がする。滝川母のせっかくの美味しそうな朝飯も酒のせいであんまり食えなかったし。




俺はどうやら酒に向いていないらしい。




堂本マジックと言おうか。堂本さんと一緒にいるとすげー酒が進んだ気がする。



イケメンの魅力ってああいうことを言うんだろうか。女3人を連れてタバコを吸ってた後ろ姿がやけに印象付いていた。




「はぁ。」




とはいえ、頑張った滝川よりも情けない自分にため息しか出なかった。



堂本さん目当てというだけあって、すげーかわいい子ばっかりで。緊張してたのもあるけど、さすがに一言も会話していないのは問題だろ。



MAMEと初対面の時はふつーに話せたのに。VCでしかそうなれないなんて、なかなか問題だと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る