第26話

超名門大学の帝国大学は、俺がどう頑張っても入れない大学だった。滝川弟は平均の俺よりも頭が悪い。よく兄貴は突然変異だと自慢している。




俺の言いたいことが分かるのか、堂本さんは視線を滝川兄へと向けた。



「偏差値が良くてもなー。アレだから。」



そう言って笑いかけられたその笑顔は、滝川兄弟がなぜ初めからこの人に負けてかかっているのかを証明するには十分なものだった。




大人の男って感じ。



きっと趣味も大人なんだろーな。




「でもさ、いけんじゃね?」


「え?」




もう一本タバコを取り出した堂本さんは、タバコを唇にトントン当てて、流すように俺を見る。その色気を含んだ視線にドキリとしたのは隠しておきたい。男相手にときめいたなんて洒落にならない。




「お前、高校生の割には落ち着いてんじゃん。顔も悪くねーし。少なくとも滝川兄弟よりは女釣れんだろ。」



「……それなら嬉しいんですけどね。」




とりあえずそう言ってみる。だけどなんとなく、気乗りはしてない自分がいた。



恋愛はしたい。なにより欲求不満だ。




2年ほど彼女がいない思春期の体は、とっくに飢えている。それなのにイマイチ今日の合コンに気乗りしないのは、チラチラ脳裏をよぎる2人のせいなのは確実だ。

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