第25話
「そこは心得てるぜ、兄貴!」
兄弟揃ってウインクしながら親指を立てている。いつ見てもほんと。
「仲いいよな、あいつら。」
「そっすね。」
堂本さんの笑い交じりの声に大きく頷いた。それにしても、堂本さんのおこぼれを貰うなんて、プライドはないのか滝川兄弟。
「いいか、堂本が行ったら俺が行く。そしたらお前か関口だ。」
「ちょっと待てよ兄貴。なんで兄貴が先なわけ?堂本さんは分かるけど、残りは平等だろ?」
「は?お前は兄貴を敬え。」
「兄貴だろうがなんだろうが女を前にしたら一緒だし!」
そして喧嘩の程度がものすごく低い。泣けてくるほどだ。
「堂本さんは、滝川の兄ちゃんと同じ大学なんですか?」
「ん?」
兄弟喧嘩をよそに、変にペアになってしまっている俺と堂本さん。年上の人ってなにを話せばいいのかさっぱり分からない。
とりあえず間を埋めるためにした質問は、あまりにもつまらないものだ。
「すみません。どうでもいいっすよね。」
タバコの煙に目を細めて俺をジッと見てくる堂本さんの視線に耐え切れずにそういえば、小さく笑みを零した堂本さんはタバコをもみ消した。
「あんな馬鹿と同じ大学っつうのが不満だけどなー。」
「え、確か……。」
滝川の兄貴って、あの帝国大学だった気が……。
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