第24話

「あの。関口です。」



一応、これから一緒に合コンに行く仲間だ。とりあえず頭を下げれば、その人はようやく俺の存在に気づいたとばかりに、一瞬目を見開いて驚いてみせた。



そして、ぎこちなく笑う。



堂本どうもと。あんたも付き合わされた感じ?」


「はぁ、そうですね。」



どうやら滝川兄弟は容姿だけでなく内面も似ているらしい。振り回されるこっちもたまったもんじゃないよな。



「まぁいいけど。そろそろ溜まってたし。」



だけど目の前にいる人は、どうやら経験は豊富らしい。よく見れば、やる気のない服装をしているというだけで、見た目はかっこいいかも。




あんだけ着飾った滝川兄と並んでも負けていない。



意外と、チョイスミスなんじゃねえの?滝川兄。




「いい?」



掲げられたそれに頷けば、堂本さんはポケットからライターを出して火を点けた。



「ここで吸っとかないとな。基本禁煙だから。」




煙を一つ吐いて苦笑いを零した堂本さんは、そこにあるのをもう知っていたかのように、俺の後ろにあった灰皿で灰を落とす。




どうやらここは、町が設けている喫煙場所だったらしい。堂本さんが吸うまでタバコを吸ってる人がいなかったから気が付かなかった。




「いいか、今回の女たちは堂本目当てでくる。堂本が一人決めるから、俺たちはその残りを狙うんだ。」



なんとなく、色気すら感じる堂本さんのタバコを吸う所作を見ていると、すげー情けないワードが聞こえてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る