第23話
「おつかれー。」
間延びした声に顔を上げれば、久しぶりに見る滝川の兄貴がそこにいた。
滝川の容姿はそんなに整っているというわけじゃない。中の中の中くらいと言おうか。いわゆる普通にそこらへんにいそうな顔だ。
その血がもちろん同じく流れている滝川の兄貴も、滝川とやや違うもののイケメンという言葉からは程遠い容姿をしている。
だけど滝川より4年長く生きているおかげか、自分の容姿をうまく誤魔化す方法を会得しているらしい。
最近流行りのファッションに身を包み、近所の床屋じゃ絶対にできないであろう髪型。指や首にはさりげなくアクセサリー、そして、チャラくない程度のシンプルなピアスが耳で光っていた。
心なしか、爪も艶々なような。さっきから匂ういい匂いはたぶん、この人から発せられているんだろう。
まぁ、一言でいえば。
めっちゃ気合い入れてんじゃん、兄弟揃って。ってこと。
「ここで待ち合わせ?」
「いや、店。」
挨拶もせず、気合い入りまくりの滝川兄弟の会話を聞きながら、滝川兄が連れてきた人を見た。
どうやら、滝川弟と同じ理由で採用されたな。直感で感じる。
けだるそうな態度。気合いもくそもない。服装はTシャツにジーンズ。俺も似たようなものだけど、俺よりひどいやる気のなさだった。
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