リアルとアンリアル

第19話

「相談なんだがね。」



「なんだよ。」



試験も迫る6月28日。真剣な表情で三菱が俺を見つめている。正直、デブに見つめられても全然嬉しくはないが、仮にも友人であるこの男がなにか困ってるなら、手を貸してやらないこともないと思う。




「ここ、ポチしてくんね?」


「嫌だ。」


「えー!なんでー!」




それは俺のセリフだよ。



「なんで俺がお前のガチャを引いてやんなきゃいけねえの?」


「え、今日の俺の引きが悪いから?」


「死ね。」




それで引きが悪けりゃ俺のせいにするんだから、このデブは始末が悪い。



それにしても、こいつの課金の頻度は異常だ。よく親も許すよな。



「なら滝川ぁ。」



「……俺は別に引いてやらんでもなかったけど、夏生がダメだった時の保険みたいで気分悪いからやらない。それにお前がキモイから更にやる気をなくした。」



「ひどくね?」




スマホゲームって、金出せばいいみたいなとこがありそうだけど、三菱を見ていてそれは一概にも言えないと思った。




もちろん、レア確定ガチャを引けば必ずもらえるレアもあるが、俺は知ってる。



この間、課金は悪だと言ってた姉ちゃんが一発でスーパーレア引いてたし。




それも、三菱がずっと狙ってたやつ。

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