第14話

延々と木を取る作業を繰り返しながら、同時に口もよく動いていた。



いつの間にかよく話すもんだから、プレイ中近くにマイマグカップを置くことは必須条件だ。時折、MAMEの方からも氷のカランと鳴る音が聞こえる。




話すことは、全然大したことない話なのに、なんでこんなに楽しいんだろう。




別におしゃべりでもない自分は、なんでこんなに一生懸命話してるんだろう?



内心気づいていること。だけど認めたくはない感情だった。




だってそうだろ?



---ゲームの世界で声ぐらいしか知らない女を好きになるなんて、クラスで人気の河合ゆずと付き合うくらいありえない話だ。





もし俺がMAMEと付き合えたとして、こういうのをネカノって言うんだろうけど。



それは本当に、彼女って言えることなんだろうか。




実は、河合ゆずが気になってるのもMAMEが影響している。



似てるんだ。いつもVCで耳の傍で聞いているMAMEの声と、河合ゆずの声が。



そんな理由で好きになられても、河合ゆずには迷惑でしかないんだろうけどな。




それに、河合ゆずはMAMEじゃない。



EGGの存在すら知らないだろう。




「次は何しましょうか。」



採取した木を家に持ち帰って一段落したところで、MAMEがそう言った。

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