第11話

俺はMAMEのことをほとんど知らない。



女なのにこのゲームにハマってる珍しい奴で、女らしく可愛い恐竜が好きだ。


素人にありがちなミスも最小限で、トライブメンバーとも気さくに話している。



一度教えたことはすぐ覚えるし、覚えにくいことはメモまで取ってる徹底ぶりだ。



好きな食べ物はチョコレート。たまに友達と行くカフェのスムージーが最高の贅沢らしい。



趣味はブレスレットを集めること。



このゲームを暇があればしている以外は典型的な女の子って感じだ。



俺は、そんなMAMEに惹かれている。少なくとも、急いで学校から帰ってVCで話すのを心待ちにしているくらいには。



でも、俺とMAMEがもし付き合ったとして。住んでるところも学校も、容姿も分からなければ正確な年も分からない。



それなのに、恋人同士なんて。



いわゆるネット彼女、ネカノって奴なんだろうけど、それって恋愛してるとはいえないと思うんだよな。




さすがに恋愛するならリアルな女がいいわけで。そしてこんな奴が彼女だったらな、と思う見た目は、断然河合ゆずだった。




「NATI?」


「っっ、」




時折、びっくりすることがある。



「行こっか、採取。」


「そうだな。」




河合ゆずとMAMEは、声がよく似ている。

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