第41話
これこそが、新城奏で。
極悪非道。その一言だ。
奏の一言で、一つの組が簡単に潰れる。
そしてそれに文句すら出ないのは、絶対的な、力の差があるからだ。
もうこの組に興味はないらしい奏は、鉄が開けた襖をくぐって部屋から姿を消した。
いや、元々多分、興味はなかっただろうけど。
ホワイトデーの話をするためだけにここを使ったっぽいし。
「さて。起きているでしょう?」
「っっ、」
奏の前で、死んだふりするやつの比率は、熊のそれよりも多いと思う。
人間としての野生の感が働くんだろうか?
”捕食者”を前にすれば、なんとか逃げだそうと人は動く。
「解散届を出しなさい。優秀な者たちは、貰ってあげましょう。」
「クッ、」
俺の仕事は、こういう小事までに及ぶ。
それは、奏という人間が大きければ大きいほど、増える。
もし俺が妻を娶るとすれば、寂しい思いをさせてしまうだろう。
だけどなにより。
俺は多分、女より奏が好きだから。
「最近真琴が読んでる本みたい。」
「へ?」
人としてあの男に心酔しちゃったら、もうだめだ。
「別に。貴方には関係のない話ですよ。」
ホワイトデーごときに悩まされちゃううちの帝王様に振り回される俺の苦悩はどこまでも続くんだ。
……、まぁ、まんざらでもないけどね。
……end,
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