第38話

「……。」



黙ったままの奏は、質問でも考えているのか。俺、今頭下げたままだから少し、この体制きついんですけど。



「なんでだ?」


「は?」



だけど返ってきたのは、心底不思議そうな言葉で。思わず顔を上げれば、俺を突き刺すのは奏の心底蔑んだような目。



「お前に聞いてどこがためになるんだ?」


「えっ、そりゃ、」



そのリアクションに戸惑いはしてるけどね、言えますとも、胸を張って。



「女のことなら俺でしょ。」



どれだけ女食ってきたと思ってんの。


女心イコール俺、俺イコール女心ってくらい、俺は百戦錬磨なわけ。


同じような部類で弘人も一緒にされがちだけど、あんな腰振ってるだけのガキとは違う。


大人な俺は、女に対しては完璧。だからこそ、モテる。容姿だけでもモテるのにさ、ほんと困っちゃうよね。



「死ね。」


「はい酷い~。なんでそこでそうなるかな?」



奏くん最近、暴言が酷いと思うんだよね。



最近じゃさ、”カス”か、”クズ”か、”キモ”か”死ね”しか言ってない気がする。



それでいろんな意味が通ってるのも怖いんですけど。そういう意味の言葉なんじゃなくて実は【奏語】でして、別の意味で取れます、なんて落ちじゃないよね?そう思うほど。

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