第36話
「奏様、どうしてですか?」
「あ?」
目の前の組長の頭を踏んで、ぐりぐりと畳に押し付けた。俺のこの、寂しさを紛らわせられるのは、そうするしかない。
「なぜ私に、相談してくださらないんです?」
確かに、くだらないよ?ホワイトデーなんていつできたんだって感じの行事だし。
だけど、だけどさ、鉄はなくない?
よりによって鉄?女なんて多分、嫁くらいしか知らないでしょ。
まじめ一徹、硬派で通る、女の酸いも甘いも知らないこいつに!しかも、ホワイトデーなんて洒落た行事すら知らないっぽいこいつに!
何が分かる?
「聞くのなら、私に、ですよね。」
「ぐっ、」
畳にめり込んでいく組長の顔が許容を超えたのか、変な声を出しているけど。畳の限界に挑戦するのも、悪くないでしょ?
奏がめちゃくちゃ冷たい目で俺を見てくるから。組長、俺を癒してくれよ。
これくらい発散しなくちゃ、やってられないよ。奏に頼られないこの、孤独感。それを埋めるには。
俺の仕事を増やしてくれたこいつで発散しなくちゃ。
……大変だよね、俺って。
やれやれ、と首を横に振った。だって俺、苦労が絶えないだろ?
可哀想だよね。
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