第25話

そんな時。



♪~~♪、♪♪、



隼兄、専用着信音が教室に鳴り響く。


勝手に設定したそれは、なぜか恋の歌で。


あいつマジで痛いな。そう思いながらいつも電話に出てる。



だけど今回は助かった。



ゆいかにジェスチャーで誤って画面をタップする。



『もしもしい。お兄ちゃんです!』


「どうもお疲れ様です。」


『奏に聞いたんだけどさぁ、ゆいかちゃんのチョコフォンデュがけしか言わなくて。マジ変態だよね~。』


「へー、そうなんすかぁ、知らなかったぁ。」


『ここでお兄ちゃんから提案なんだけど、奏は甘い物が苦手だからビターな味の方がいいんだと思うんだよね。』


「そうっすよね。私もそう思うっす。」


『だから、トリュフとか、大人の味で!お兄ちゃんの分もね!』


「最後はともかくとして、私もそう考えてました。」


『……ところでなんで敬語なの?ツー、ツー、』



ぶち切りしたそれを机の上に放って。



「さて!なに作る?」



ゆいかに笑顔を向けた。



ホッとした表情のゆいかは、困ったように笑う。



「作りやすいもので。」


「ドライ。」



うん。いつもの私たちだ。

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